薬を飲む男性

多くの種類の細菌やウイルスが人間に感染して病気を引き起こすことが知られていますが、クラミジア感染症は日本国内で感染者・患者数が急増している伝染病のひとつです。ちなみに厚生労働省が発表したデータによると、日本国内で最も感染者・患者数の多い性感染症です。

性器クラミジアは細菌が原因で発症する伝染病のひとつで、クラミジア・トラコマチス(Chlamydiatrachomatis)と呼ばれる病原菌が原因で起こります。この病原菌は細菌の一種ですが、サイズが非常に小さくて人間の粘膜の細胞内でしか生存・増殖をすることができません。細菌の中でも、ウイルスに近い性質を持つことが知られています。

クラミジアの病原菌は、感染者の粘膜の細胞内に潜んで増殖をするという性質を持ちます。感染する粘膜の細胞には、性器・泌尿器・直腸・咽頭(のど)・眼球などがあります。病原菌は非常に弱く、宿主の細胞(人間の粘膜)から出ると短時間で活性を失って死滅します。そのため、感染者の粘膜と接触することで人から人にうつります。ただし感染者の粘膜に接触しなければ、他の人に病原菌がうつる恐れはほとんどありません。

クラミジアの病原体が他の人に伝染する主な原因は、性行為の際に感染者の粘膜と接触することです。性器性交であれば、性器の粘膜が直接接触することで病原菌に感染します。直腸の粘膜に病原体が感染している場合には、アナルセックスでうつる場合があります。病原菌は喉(のど)の粘膜にも感染・増殖をするので、オーラルセックスをすることで性器と口の間で伝染します。軽くキスをする程度では病原体が伝染することはありませんが、ディープキスをすると口の粘膜を通して感染する恐れがあります。

クラミジアの病原体は粘膜の細胞に潜んでいるため、精液や血液に触れなくても粘膜同士が接触するだけで容易に人から人に伝染してしまうという性質があります。中には性交渉の際に射精をする時だけコンドームを着用する人もいますが、体液に触れなくても粘膜同士が接触をした時点で病原体に感染してしまいます。

オーラルセックスやアナルセックスは避妊をする必要がないという理由で、性風俗店であってもコンドームを着用しないケースが少なくありません。コンドームを着用しなければ、口や肛門の粘膜が接触する際にクラミジアの病原菌に感染する危険性があります。咽頭部や肛門などのように性器以外の部位を経由しても感染する恐れがあることから、伝染力が非常に強い感染症のひとつです。

クラミジアは感染力が非常に強く、コンドームを着用せずに性行為や疑似性行為をする際の感染率は3~5割といわれています。ちなみにHIVであれば、コンドームを着用しない場合に1回の性行為で感染する確率は1%以下です。他の性感染症と比べて非常に感染力が強いので、感染が疑われる相手と性行為をする際は注意が必要です。

クラミジアの病原菌は性器や喉以外にも、眼球の粘膜に感染して増殖する恐れがあります。目の粘膜に感染すると、病原菌が増殖して結膜炎を発症します。結膜炎を発症して放置すると、失明する危険性があるので注意が必要です。眼球の粘膜に病原体が感染した場合には、抗菌薬が配合された点眼薬や眼軟膏などを使用して治療がおこなわれます。

目の粘膜にクラミジアの病原菌が感染する原因として、喉の粘膜に病原菌が感染した際に唾液などを通して目に伝播するケースが考えられます。唾液が鼻を伝って目に逆流したり、病原体を多く含む唾液や粘膜が付着した手で目をこすることでも感染が起こります。唾液で湿らせたコンタクトレンズを装着することで、眼球に感染して結膜炎を発症したというケースも報告されています。